仏壇の種類

唐木仏壇

  • 唐木仏壇 上置型
  • 唐木仏壇 台付型

唐木仏壇(からきぶつだん)は、黒檀や紫檀など銘木と呼ばれている木材の美しい木目を生かした仏壇です。明治時代になってから、つくられるようになりました。木材の色や木目を生かして作られているので、木材の種類や材質によって仏壇の値段が全然違います。
唐木仏壇の代表的な木材を紹介しましょう。

黒檀
インドネシアが主な原産地のカキノキ科で、材質は堅く、水に沈むほど緻密で、耐久性に優れ、虫や菌に侵されにくいうえ、乾燥性がよいという特徴があります。黒地に美しい木目が浮き出た高級な木材で、「木のダイヤモンド」といわれるほど高価です。
紫檀
ラオス、タイ、ベトナムなどが主な原産地のマメ科で、周辺部分は白色ですが、心材は暗紫紅色で、材質は堅くて緻密なところは黒檀と同じです。正倉院御物の唐木細工のなかではもっとも多く見られ、古くから珍重された木材です。
桑は全国各地で産出される木材ですが、銘木として使える木は、伊豆諸島で産出される「島桑」です。年輪が緻密で、美しい木目と粘りのある木材として知られています。江戸時代から江戸指物などに用いられていました。国内の銘木のなかでは、最高級の木材です。
欅(けやき)
ニレ科で、広葉樹のなかでは極めて整った樹形をしており、北海道を除く全国が産地です。古くから神社や寺院建築に使われた木目の美しい木材です。材質も堅く、仏壇に向いています。

唐木(からき)とは、中国が「唐」と呼ばれていたころ、唐から輸入された東南アジア産の銘木のことで、日本では産出されない木材のことを指していました。黒檀と紫檀が昔から唐木と呼ばれていたことから、唐木仏壇と名づけられたようです。

唐木仏壇は伝統的様式の仏壇で、江戸時代に培われた工芸技術が生かされています。
有名な唐木仏壇が東京唐木仏壇と大阪唐木仏壇です。現存するもっとも古い東京唐木仏壇で有名な仏壇は伊能忠敬家のものです。大阪唐木仏壇は16世紀ころ、東南アジアから唐木を直接、輸入していたころから、日本でも有数の唐木仏壇製作の産地となっています。

唐木仏壇で使われる銘木は現在でも貴重な木材となっているので、すべて無垢材を使った総無垢の仏壇はわずかしかありません。相当、高価になります。
現在の大半の仏壇は芯に別の木材を使い、銘木を張ってつくるようになっています。製品の価格を抑えるという目的のほかに、木材の割れや狂いを防ぐという理由もあります。
張ってある銘木の使用量で価格が決まってきます。
芯材には朴の木、マメ科セピター(東南アジア産)、ノボタン科ジョンコン(インドネシア産)、合板、MDFボード(合成木材)などが使われています。

総無垢の唐木仏壇の次に高価なものが、芯材の上に厚さ6ミリくらいの銘木の無垢材を張り合わせた「無垢厚板張り」です。練り工法ともいいます。
芯材の上に厚さ0.2ミリくらいにスライスした銘木の突板を張り合わせる「突板張り」はリーズナブルな仏壇です。
芯材に銘木の木目を直接印刷した転写もの、あるいは芯材に木目を印刷したフィルムや塩ビシートを張り合わせたプリントの仏壇もあります。もちろん天然の銘木を使ったものより安価なつくり方で、最近増えてきている中国製の仏壇にはこのタイプが多く見られます。
しかし、転写やプリントの仏壇も、印刷技術が向上しているため、一見しても見分けがつかないほどよくできています。仏壇の正面を見るだけではなく、側面や内部などもよく見てください。良い仏壇は細部まできちんとつくられています。

安価な唐木仏壇を購入することが悪いわけではありません。しかし、印刷の木目はいずれ色あせてきます。薄い突き板は無垢厚板にくらべ、傷つきやすいものです。
それにくらべ、高級品は美しい状態を長い年月保つので、材質の違いは年月を経るごとにはっきりと現れてきます。
購入するときは、安価な仏壇は早く色あせ、傷みやすいということを念頭において仏壇選びをしてください。