仏壇の品質表示

金仏壇の品質表示

金仏壇の木地主材料

区分(表示用語) 材料
檜(ヒノキ) 檜、檜葉、米檜、米檜葉の木材料を使用したもの
杉(スギ) 杉の木材料を使用したもの
松(マツ) 松、紅松、姫小松の木材料を使用したもの
欅(ケヤキ) 欅の木材料を使用したもの
銀杏(イチョウ) 銀杏の木材料を使用したもの
天然木材 天然木材を使用したもの(上に掲げるものを除く)
天然合板 シナベニヤ、ラワンベニヤ、その他木合板を使用したもの
木質繊維板 MDF、その他繊維板を使用したもの

※ 表示用語、材料のいずれを表示してもよい。

表示用語「檜」

ひのき【檜】

ヒノキ科の樹木であり、日本を代表する銘木であり、その語源は「火の木」であると言われる。古来より現在にいたるまで宮廷や貴族の居宅、神社造営の用材、仏像の材料として用いられてきた。国内で産出する地域は福島県から鹿児島県までと広範囲に渡るが、地域によって材質に大きな差が出る。国内の産地として特に有名なのは長野県木曽、岐阜県裏木曽であり、木曽谷国有林では天然生林を保護管理している。檜を使った建築として特に有名なのは法隆寺である。法隆寺は現存する木造建築としては世界最古であり、世界文化遺産にも指定されている。また、伊勢神宮の遷宮でも木曽檜が使われる。

ひば【檜葉】

ヒノキ科の樹木。日本特産。北海道から福島県まで天然に分布する材木。地域的には青森県に最も多く、青森ヒバの名前で知られている。この青森ヒバは天然秋田杉、木曽檜と並ぶ日本三大美林のひとつであり、繊細で美しい木目を持つ。材は上品な淡黄色であり檜と類似しており、地域によっては「あすなろ」の名前で呼ばれる。

べいひ【米檜】

ヒノキ科の樹木。北米で産出され国産檜の代用として用いられる。材質は国産の檜に似て肌目も細かい。

べいひば【米檜葉】

ヒノキ科の樹木。北米アラスカからオレゴン州にかけての太平洋岸に分布する。日本の檜葉とは同一種ではないが、全体に淡黄色で日本の檜葉に似た独特の香気を持つ。高級金仏壇の木地としてよく使われる。

表示用語「杉」

すぎ【杉】

スギ科の樹木。スギは一般に軽く軟らかで加工しやすく、木目がよく通っている。何百年を経た天然木には年輪の密で均質な良材も多い。吉野杉・北山杉・秋田杉などが知られている。

表示用語「松」

まつ【松】

マツ科の樹木。仏壇など宗教用具の木地として用いられる松は五葉松類に分類されるもので、姫小松(別名ゴヨウマツ)、紅松(チョウセンゴヨウ)などがある。

べにまつ【紅松】

マツ科の樹木。朝鮮半島、中国黒竜江省、シベリアで産出されるマツ科の木材。中国で製造される金仏壇の主力木地のひとつ。芯材は淡い黄褐色〜淡い赤色。加工性がよく狂いも少ないために金仏壇木地・寺院用仏具木地・彫刻などの用途に使われてきたが、中国・ロシアの伐採制限により入手が難しい材料となっている。

ひめこまつ【姫小松】

マツ科の樹木。北海道、本州北中部に分布。加工性が良く、狂いが出にくく、金仏壇木地・寺院用仏具木地・彫刻などの用途に使われる。現在では蓄積量が少ない。

表示用語「欅」

けやき【欅】

ニレ科ケヤキ属の樹木。北海道を除く日本、台湾、中国で産出される。日本の代表的な銘木のひとつで、広葉樹の中の良材のひとつである。国内では福島県会津地方、山形県、岩手県などの東北、長野県、静岡県、宮崎県が欅の良材産出地として知られてきた。欅は高さが35メートルにもなり国内には樹齢1000年を越える欅もある。樹齢が数百年を越える欅材には独特の杢が現れ、欅材の場合、如輪杢、玉杢、牡丹杢などと呼ばれる杢が知られている。欅の辺材は淡い黄褐色、芯材は黄味がかった褐色から紅褐色を特徴としている。

表示用語「銀杏」

いちょう【銀杏】

イチョウ科。中国原産の落葉高木で、中国・日本で産出される。広葉樹にも針葉樹にも属さず、雄株と雌株とがある。油分を含み水はけがよく、材料も均一で加工性にも優れている。表面仕上げは中位。歪みは出にくい。全体的に黄白色。

表示用語「天然合板」

しなべにや【シナベニヤ】

合板の表面をシナの単板を貼ったもの。含水率が低く膨張・収縮が低く、シナの単板を貼るために作業性能が高い。

らわんべにや【ラワンベニヤ】

合板の一種で、基材がラワン系の南洋材で作られているもの。

表示用語「木質繊維板」

エム・ディー・エフ【MDF】

木材チップの繊維を主原料としてそこに合成樹脂を加えて成型したものを繊維板(ファイバー・ボード)と呼ぶ。いわゆる「ボード」であるが、このうち中質繊維板のことをMDF(ミディアム・デンシティー・ファイバーボード)と呼んでいる。

金仏壇の正面表面仕上げ

区分(表示用語) 内容
漆仕上げ 漆を塗って仕上げたもの
(相当量の漆を配合した塗料を用いたものに限る)
カシュー仕上げ・(植物性)合成漆 カシューかく油等を樹脂化した塗料で仕上げたもの
ウレタン仕上げ ポリウレタン樹脂塗料で仕上げたもの
セルロースラッカー仕上げ セルロースラッカー塗料で仕上げたもの
ポリエステル仕上げ ポリエステル樹脂塗料で仕上げたもの
オイル仕上げ 油性塗料を含浸させて仕上げたもの

※ 金仏壇は、台輪(上台輪も含む)、大戸ごとに正面表面仕上げを表示するものとする。

表示用語「漆仕上げ」

うるし【漆】

漆樹の幹に傷をつけた時、そこからにじみでた樹液のことを漆という。樹液そのものは乳白色であるが、空気に触れると褐色に変化する。樹液は日本・中国・台湾をはじめ、ベトナム・ミャンマー・カンボジア・タイなどの東南アジアに分布し、それらの国で漆が産出される。6月から9月末までにかけて、樹液の幹から掻き取られる漆液のことを辺漆と呼び、その中でも7月中旬から9月上旬の暑い時期に掻いた漆は、盛り辺・盛り物と呼ばれ、上質の漆が採取できる。漆の成分は、ウルシオール(60%〜80%)・水分(10%〜30%)・ゴム質(3%〜8%)・含窒素物(1%〜3%)であり、主成分のウルシオールが多いほど良質の漆とされる。
日本の漆と中国の漆はウルシオールを主成分とするが、ベトナム・台湾産の漆はラッコールが主成分、タイ・ミャンマーの漆はチチオールを主成分とする。

表示用語「カシュー仕上げ」「(植物性)合成漆」

【カシュー樹脂塗料】

カシュー・ナッツ(Cashew nut)から採取されるカシューかく油(殻油)等を樹脂化した塗料。合成漆のこと。
カシュー樹脂塗料の塗膜や性能はほとんど漆と変わるところがないが、漆は乾燥させるにあたり湿気を必要とするのに対して、カシュー樹脂塗料は自然乾燥、または加熱乾燥によって乾燥される。漆に対して低価格である上に、漆のようなかぶれがなく、また吹き付け塗装が可能であることなどから、仏壇・仏具の量産化に大きく寄与してきた。
塗料としては上塗り、中塗り、下地用など多岐に亘る製品があり、最近では硬化剤により主剤を硬化させる2液型カシュー樹脂塗料が金仏壇の仕上げ塗料として多用されるようになった。
カシュー・ナット・シェル・オイルの主成分として含まれるカードールとアナカルド酸のうち、カードールは漆の主成分であるウルシオールとその化学構造がきわめて良く似ており、このことが漆に代わる塗料として使用される理由である。
カシューナットが採れるカシュー樹はウルシ科の樹木であり学名アナカルディウム(Anacardium)、南米大陸・西インド諸島各域を主な原産地常緑高木であり、現在ではベトナム・インド・ブラジル・ナイジェリア・中国(海南島)等が主要産地となっている。カシュー・ナットは(俗にカシュー・ナッツと呼ばれる)核の部分と殻の部分からなり、核の部分はピーナッツなどと並び人気の高い食品である。

表示用語「ウレタン仕上げ」

【ポリウレタン樹脂塗料】

ウレタン仕上げと呼ばれる場合はポリウレタン樹脂塗料での仕上げである。ポリエステル樹脂塗料に比較すると薄い塗膜でありながら、高い硬度を特徴とし、耐光性(紫外線による変化に対する強さ)に優れている。ポリウレタン樹脂塗料の大半は2液型(主剤と硬化剤)であり、主剤と硬化剤が化学反応することでポリウレタン樹脂となる。ポリウレタン樹脂は塗装作業性が高く硬度も高い。下地塗料、中塗り塗料、上塗り塗料とそれぞれに使われる。

表示用語「セルロースラッカー仕上げ」

【セルロースラッカー】

塗料のひとつ。一般的にはNCラッカー(ニトロセルロースラッカー・硝化綿ラッカー)のこと。速乾性で作業性能が高いが、肉持ちは薄い。

表示用語「ポリエステル仕上げ」

【ポリエステル樹脂塗料】

不飽和ポリエステル樹脂塗料のこと。業界内では「ポリ」と通称されることもある。唐木仏壇の厚塗り塗装の場合には2液型のポリエステル樹脂塗料が使われる。ポリエステル樹脂塗料は塗装面の肉持ちがよく、透明度が高く、光沢度も高い。木工用として用いられる不飽和ポリエステル樹脂塗料の大半は微量のワックスを添加することで硬化障害を防ぐ。仏壇表面をポリエステル樹脂塗料で仕上げることをポリエステル仕上げと呼ぶ。

表示用語「オイル仕上げ」

【オイル仕上げ】

植物性油を主材とした塗料のこと。塗膜を作ることよりも、素材に塗料を浸透させ、木質感を美しく表現する塗装方法。植物性油には、あまに油・きり油(乾性油)、大豆油・綿実油(半乾性油)、ひまし油・やし油(不乾性油)がある。

金仏壇の主な金箔粉等

表示用語 内容
(本)金粉 純度94%以上の金粉を使用したもの
(本)金箔 純度94%以上の金箔を使用したもの
金属箔(粉) 真鍮などの金属を使用したもの
金色塗料 金色の合成塗料を使用したもの

表示用語「(本)金箔」

【金箔】

金・金合金を薄く打ち伸したものを金箔という。公正競争規約では純度94%以上の金箔を金箔・本金箔と表示できる。かつては、会津・京都などでも製造されていたが、現在では金沢とその周辺地域が、主要産地となっている。日本において、いつ頃から金箔が作られ始めたのか正確には分からないが、平安時代には中尊寺金色堂で、大量の金箔が使われていることから、その頃にはすでに、金箔を作る技術があったことが分かる。鎌倉時代に成立した「宇治拾遺物語」には、箔打師についての記述が見える。中国においては、1世紀から2世紀にかけて、製箔の技術が成立しており、日本には中国からの渡来者がその技術を伝えたものと思われる。現在、金箔の種類は金・銀・銅の含有率(五毛色・一号色・二号色・三号色・四号色・三歩色)と、製法の違い(縁付き箔・断切り箔)で分けられる。金の含有率は高くなるほどその赤味が増し、低くなれば青味がかって見える。現在最も製造枚数が多いのは、四号色の断切り箔である。

表示用語「(本)金粉」

【金粉】

蒔絵粉ともいう。公正競争規約では純度94%以上の金粉を金粉・本金粉と表示できる。金粉の形状と用途で分類すると、平目粉・梨子地粉・丸粉・半丸粉・平粉・消粉がある。仏壇・仏具の仕様表示である粉仕上げには消粉が使われ、他の金粉は蒔絵粉として使われる。消粉は金箔や銀箔を膠液から飴液に混ぜ、陶磁器の皿の上で、手で揉み広げてつくられる。粉は鱗片状(フレーク状)となり、仏壇・仏具の粉仕上げに使われる。原材料となる金箔には、主に金箔の形を整えるために切断した時に生まれる切廻しが使われる。

表示用語「金属箔(粉)」

【金属箔】

真鍮などの金属を使用した箔。

表示用語「金色塗料」

【金色塗料】

金色に着色された金属粉を含む塗料、あるいは金を含む塗料のこと。金粉の代用として用いられる。

金仏壇の原産国に関する表示

区分(表示用語) 内容
国産 又は 日本 材料の原産国にかかわらず、製造工程(木地、宮殿、彫刻、錺金具、塗り、 金箔押、蒔絵、組立・仕上げの8工程をいう。)のうち、木地、塗り、金箔押、 組立・仕上げの4工程全て及び宮殿、彫刻、錺金具、蒔絵のうち1工程以上が 日本で施工されているもののほか、組立・仕上げの工程が日本で施工され、 他の7工程の一部が日本で施工されることにより、付加価値の過半が日本で 施工されたと認められるものであって、公正取引委員会及び消費者庁長官の 承認による運用要領に定めるもの。
海外 上記以外のもの

※ 「海外」と表示すべきもののうち、組立・仕上げが日本で施工されたもの(キズの修理、検品、又は部分的な組立のみを日本で施工したものを除く。)には、「海外(国内組立品又は、日本組立品)」と表示できる。
※ 「海外」と表示すべきもののうち、海外のどの国で施工されたか明らかなものは、海外の国又は地域の名称を表示することができるものとする。
※ 製造工程ごとに施工された国又は地域の名称を表示することができる。