仏壇のお参りの仕方

仏壇に供えるもの

仏壇を購入したら、毎日、仏壇の前に座ってお参りをすることが供養になります。仏壇は購入するだけで終わるものではありません。購入してから毎日お参りするという、仏壇との長い付き合いがはじまるのです。
毎日お参りするために、仏壇に供えるものがあります。どれも意味があって重要です。
香をたき、花を飾り、灯明を照らし、お茶や水、ご飯やお菓子、果物を供えます。
それは本尊や故人、そして先祖と共に生活をすることを意味し、仏教では「供養する」といいます。

香(線香)

仏壇には必ず、香炉が供えられ、そこで線香などをたきます。香は仏教では重要なもので、お参りするときには必ず供えます。

線香の香りは部屋のすみずみまで行き渡るところから、仏(ほとけ)の慈悲が誰彼の区別なく与えられることをあらわしているといわれています。また、その香りがお参りする人の身も心も清めてくれます。線香で清められた清浄な心で仏壇にお参りするのです。
仏壇に供える香は、いまでは線香が一般的で、焼香は法要を行うときに使われます。

線香には長い線香や短い線香、渦巻き型の線香、コーン型の線香があり、香りもさまざまです。白檀(びゃくだん)や沈香(じんこう)などをおもな材料とした伝統的な香りの線香。スズランやラベンダーなどフローラル系の線香。最近では、気密性の高い住宅が増えたため、微香性の煙の少ない線香も人気があります。自分の好みに合った線香を選べばよいでしょう。

線香はロウソクの火から点火し、香炉に1本ずつ立てます。本数は宗派で違いますが、1〜3本が基本です。浄土真宗は線香を立てずに、適当な長さに折って火をつけ、香炉に寝かせます。
線香を消すときは口で吹かずに、手であおいで消します。ロウソクも同じです。人間の口は、とかく悪業を積みやすく、けがれやすいものなので、仏さまに供える火を消すには向かないからです。

宗派の正式な線香の本数は、天台宗は3本、真言宗は3本、浄土宗は1本、曹洞宗は1本、臨済宗は1本、日蓮宗は1本です。浄土真宗本願寺派と真宗大谷派は、適当な長さに折って寝かせます。

花は仏の慈悲をあらわしているといわれています。美しい花であれば、どんな花でもかまいません。故人が好きだった花を飾ってもよいでしょう。心を込めて飾ることが大切です。
ただ、においのきつい花はふさわしくないといわれています。造花もふさわしいとはいえませんが、どうしても生花を用意できないときは仕方ないでしょう。できるかぎり、新鮮な花を供えましょう。

毎日水を取り替えて、花を長く美しく保つことがよいとされています。早め早めに新鮮な花に取替えましょう。

花の正面がおまいりする人に向くように供えます。花で飾られた本尊に対面することで心が清められるといわれています。花を枯れかかったままにしておくと、おまいりする人の心が清らかにならないので、新鮮な花を供えるようにしましょう。
五具足で飾るときは花立が対になるので、花も左右、同じになるように飾ります。

灯明(とうみょう)(ろうそく)

灯明は仏壇を明るく照らすだけではなく、仏の智慧(ちえ)をあらわしているといわれています。また、灯明は煩悩の闇を消す功徳があるともいわれています。灯明は仏や祖先へのもっとも大切な供養のひとつです。

ロウソクはマッチや専用のライターなどを使って火をつけます。使い終わったマッチはマッチ専用のマッチ消しに入れて捨てます。
ロウソクの火を消すときは、息を吹きかけて消すのではなく、線香と同じく、手であおいで消します。

最近では安全という点から、電球の灯明を使うことも多くなっています。

お茶、水

茶湯器を使い、お茶か水を毎朝供えます。家族が飲む前の最初のお茶を供えるとよいでしょう。水は本来、清浄な場所から汲んで供えるものですが、現在は水道水でかまいません。
浄土真宗では、原則として仏壇にお茶や水は供えません。

ご飯

仏飯器を使い、炊きたてのご飯を家族が食べる前に供えます。毎朝炊かない家庭は、炊いたときに供えるとよいでしょう。
仏壇に供えるご飯を「お仏飯(ぶっぱん)」といい、あとで捨てずに家族でいただきます。

お菓子、果物

お菓子や果物などは、高月や小皿を用いて供えます。季節の初物や、故人の好物を供えてもいいでしょう。
また、いただき物のお菓子や果物は、まず仏壇に供えるようにします。

精進料理

命日やお盆、お彼岸には、霊供膳を用いて精進料理を供えます。