仏壇の種類

永久仏壇

  • 永久仏壇 上置型
  • 永久仏壇 台付型

リビングルームに合う「永久仏壇」

永久仏壇は、仏壇屋 滝田商店のオリジナル仏壇です。
3年近い月日をかけて平成15年2月に完成しました。永久仏壇はコンパクトでシンプルな形の新型仏壇です。どんな宗派の方にも、宗派にこだわらない方にも違和感なく、受け入れられる仏壇です。
永久仏壇は「リビングルームにも合う小さくて材質が良い仏壇」というコンセプトのもと、素材や塗りに徹底的にこだわってつくった仏壇です。合成木材や化学塗料をいっさい使用せず、総無垢材と天然塗料である漆をつかい、伝統工芸の技で磨き上げた本物志向の仏壇です。
永久仏壇はひと目で仏壇とわかりますが、すっきりとしたデザインで、リビングルームに置いても違和感がありません。
永久仏壇は家族が集まるリビングルームで、毎日、手を合わせたくなる仏壇です。毎日、手を合わせるだけで心がやすらぐ。苦しいとき、悲しいとき、うれしいとき、大切だった亡き人と仏壇の前で対話をしたくなる。そんな仏壇です。

  • 永久仏壇 和室
  • 永久仏壇洋室

「永久仏壇」の誕生

仏事コーディネーター滝田雅敏は仏壇屋 滝田商店の3代目です。店の裏にある両親の家にはりっぱな金仏壇があり、子どものころから毎日、仏壇に手を合わせて育ってきました。結婚して家を出たあとも、毎日、実家の仏壇に手を合わせていました。
しかし、平成12年、父が肝臓がんで急死したとき、自分の住まいにも仏壇を置き、毎日、父と対話をしたい、と思いました。
どんな仏壇がよいのか考えたとき、住まいには畳の部屋がないので、実家のような金仏壇は合いません。仏壇を置く場所は家族が集まる洋間のリビングルームしかないので、小さい唐木仏壇か家具調仏壇にしようと思い、さっそく探しはじめました。
まず、店に陳列してある仏壇を見ましたが、ほしい仏壇はありませんでした。あわてて全国のいろいろな仏壇メーカーからパンフレットも取り寄せて検討しましたが、自分のリビングルームに合う気に入った仏壇がひとつもなかったのです。

仏壇屋なのに、ほしい仏壇がない、これはかなりショックなことでした。
ほしい仏壇が無ければ、つくるしかありません。わが家のリビングルームはせまいので、大きな仏壇は置けません。小さくても材質だけはしっかりとした仏壇があればいい、と思いました。
「リビングルームにも合う小さくて材質が良い仏壇」をつくってほしいと、父の時代から職人として手伝ってもらっている塗り職人の山縣英夫さんと木工職人の置栖忠明さんに相談しました。
「子孫の代まで残せる、リビングルームに合う仏壇」というコンセプトのもと、総無垢材をつかった本物の仏壇をつくることが決まり、永久仏壇の製作がスタートしたのです。
しかし、いままでとはまったく違う仏壇をつくるには生みの苦しみがありました。バラバラに分解組立ができる構造にするにはどうしたらよいのか、スリ漆塗りはどう塗るのが一番よいのか、塗り職人の山縣さんと木工職人の置栖さんが協力して、いくつもの試作をつくってくれました。
まさか永久仏壇が完成するまでに3年近くもかかるとは想像もしていませんでした。本物をつくるにはそれほど時間がかかるものなのです。

完成した後さっそく、永久仏壇をわが家のリビングルームに置いて、家族みんなで手を合わせました。手を合わせながら、父が高い技術を持った職人を育ててくれたおかげだと、あらためて父に感謝しました。
仏壇店の使命のひとつに、伝統工芸の継承があります。父の遺志を継いで、これからもすばらしい高い技術と志を持った職人を育てていきたいと思います。
最近は身近な人が亡くなったとき、仏壇購入を考える人が多いですが、仏壇は本来、子孫に受け継がれていく大切なものです。子孫に残せる自慢できる大切なものとして、100年以上は使える仏壇「永久仏壇」を考えたのです。
小さくて材質がよい仏壇なので、将来、子どもが別の場所で生活することになっても、永久仏壇だけはもっていってくれる、そんな仏壇だと確信しています。

AQ仏壇工房から生まれた「永久仏壇」

永久仏壇をつくるAQ仏壇工房は、永久仏壇の「永久」と「Advanced Quality」(高品質)の頭文字AQからつけられています。
AQ仏壇工房は日本の伝統工芸の知恵と技術をいまに生かしたい、その伝統工芸をまもりたいと考え、立ち上げた工房です。
自然の与えてくれた素材と匠の技を融合させた仏壇をつくるには、職人の技が必要です。特に江戸で開花した江戸指物師の工芸技術を次世代に残したいと考えています。指物師とは、棚やタンス、机などをつくる職人のことで、大工から分化した職業で、仏壇もつくっています。

もうひとつ、次世代に伝えたいものが、毎日、仏壇におまいりすることで、先祖への感謝の気持ちや供養する気持ちを育んできた文化です。
すばらしい匠の技が詰まった仏壇を毎日、おまいりすることが、日本の伝統を次世代に伝えていくことになるのではないでしょうか。
日本の伝統工芸にこだわってつくった仏壇が「永久仏壇」です。永久仏壇というネーミングは、100年200年と永久に使える仏壇の意味を込めています。木材からつくり方、塗り方すべてにこだわってつくった仏壇です。
永久仏壇の「こだわりの三要素」は、総無垢の木材を使うこと、スリ漆塗りであること、再生修理が容易にできることです。そのひとつひとつを紹介しましょう。

総無垢

永久仏壇は総無垢でつくられています。最近つくられている従来型仏壇に、総無垢の仏壇はほとんどありません。大量の銘木が必要となるので、手に入れるのが大変なうえ高価なので、芯材に合板を使い、表面に銘木を張り付けてつくられています。
永久仏壇は合板を使うようなごまかしではなく、本物を追求しているので、総無垢をつかっています。
仏壇の銘木といえば、古くから黒檀や紫檀が有名です。しかし、どちらも重い感じがするので、リビングルームに合う銘木として北米産クルミ科の広葉樹、ウォールナットを選んだのでした。
ウォールナットは「木の宝石」ともいわれる世界随一の銘木で、古くから世界の高級家具に用いられています。しっとりと落ち着いた色と重厚な美しい木目を持っています。強靭で、木材としてつかっても狂いが少なく、耐久性に優れた銘木です。
永久仏壇をつくるために、樹齢100年のウォールナットを丸太のまま輸入しました。丸太を日本で製材し、そのなかから良い材料だけを選んでいます。何度でも再生修理ができるように、材木は38ミリの厚さに製材し、30ミリまで削って仕上げています。かなり厚みがあるのです。
無垢の木材は生きつづけています。そのため、無垢材は十分に乾燥させなければなりませんが、どのように乾燥させるのがよいかを考えて乾燥させています。さらに、それを加工製作するには高度な技術が必要です。
本物の仏壇をつくるには、腕の良い職人と時間がかかるのです。

スリ漆塗り

総無垢の木の命を生かすのがスリ漆塗りです。木はどんなに丈夫でも汚れがシミになるので、表面は塗装することになります。リーズナブルな仏壇はウレタンやラッカーなどの化学塗料が塗装してあります。新品のときは良いのですが、だんだん劣化してきますので、キズや汚れが目立つようになります。塗りなおしも時間がかかってむずかしいという難点があります。
漆にこだわるのは、最高の天然塗料である漆に勝る塗料がないからです。漆は木の素材感を損なわずに木目の美しさを際立たせます。しかも、時が経つにつれて硬くなり、しっとりと落ち着いた光沢がでてきます。さらに、表面強度や耐久性も増してくる優れものなのです。
そんな漆の特徴をうまく引き出す技法が伝統の技であるスリ漆塗りです。木地に和紙を使って漆をすり込み、拭き取る作業を4〜5回繰り返します。スリ漆塗りは、漆が木の導管にまで入り込むので、木目の美しさを際立たせます。しかも、木の呼吸を止めずに生かしてくれるのです。
もうひとつ、スリ漆塗りのすばらしい点は、永久仏壇の名前にふさわしく、古くなってキズがついたり、漆がはがれてきたら簡単に塗りなおすことができることです。塗りなおした仏壇は新品時の状態に戻ります。さらに、最初の塗りでは出せなかった深い味わいが出せるのです。
30年に1度くらい塗りなおしていけば、100年以上は使える最高の塗り方なのです。

再生修理が容易にできる構造

100年以上使うには再生修理ができなければ、美しさを保つことができません。どんなに頑丈につくられたものでも、毎日使っているうちに、汚れが目立つようになり、キズがつくこともあります。それを30年サイクルで修理をしていけば、100年以上は使えるのです。
新品同様に仕上げるには、漆の塗りなおしは欠かせません。漆を塗りなおすには、仏壇をバラバラに分解する必要があります。
そこで、胴突き・抜きほぞ・クサビ止めという伝統的な匠の技を使いました。これは釘などを使わずに組み立てるつくり方です。組み立ててつくることで、分解組み立てが容易にできる構造になったのです。
分解組み立て構造にしたことで、何度でも再生修理ができ、はじめて、100年以上つかうことができる永久仏壇になるのです。

  • 永久仏壇 分解図1 永久仏壇は分解組み立てができる構造です。
  • 永久仏壇 分解図2
  • 永久仏壇 分解図3
  • 永久仏壇 分解図4
  • 永久仏壇 分解図5
永久仏壇の詳しい説明