書籍「仏事・仏壇がよくわかる」を全編公開

第3章(2) 仏壇の選び方と基礎知識

【7】仏壇の選び方と基礎知識

仏壇は一生に一度、買うかどうかの商品です。仏壇の選び方がわからないのは当然でしょう。仏壇は日本の伝統工芸品ですから、当然、国産品と思っているかもしれません。しかし、最近は中国やタイ、ベトナムなど海外でつくられており、海外製は50パーセントを超えています。安価に売るためにつくりはじめた海外製仏壇の品質もかなり良くなりましたが、やはり日本の仏壇職人が真心を込めてつくったものとは違います。
お客様には日本製か海外製か見分けがつかないので、全日本宗教用具協同組合に加盟している信頼できる仏壇店は、「国産仏壇」の表示をしています。まず、そこをチェックしましょう。
仏壇には金仏壇、唐木仏壇、家具調仏壇があります。それぞれの見分け方を紹介しましょう。

1.金仏壇

金仏壇は、全体に黒の漆塗りが施されて、内部は金箔で飾られた仏壇のことです。日本人が仏壇と聞いたときにイメージするのが、金仏壇ではないでしょうか。金仏壇はどれも同じように見えるかもしれませんが、それぞれの宗派によって、内部の形に違いがあります。本尊を安置する須弥壇(しゅみだん)上の宮殿(くうでん)の形が、それぞれの本山の形を模してつくってあるのです。金仏壇を選ぶときは、自分の宗派に合った金仏壇を選ぶようにしましょう。
宗派のなかでも、気をつけたいのは浄土真宗です。金仏壇といえば浄土真宗というほど、金仏壇を使うことで有名です。しかし、本願寺派(お西)、大谷派(お東)、高田派など、いくつもの派にわかれ、仏壇の内部の形もそれぞれ異なっています。浄土真宗の場合は派まで知っておく必要があります。
金仏壇は金箔が施してあるので、非常に高価に見えますが、最近は技術の向上で、一見しただけではわかりにくくなっています。そのうえ、金仏壇の価値を構成する要素は、多岐にわたり非常に複雑になっています。
本物をいくつも見て、金仏壇の価値を少しでも知っていただきたいと思います。金仏壇にどんな材料が使われ、どんな工法があるのかを簡単に説明しましょう。

(1)木地(きじ)
木地とは仏壇の材料とする木材のことで、ヒノキ、松、杉、ケヤキ、合板、ボードなどが複合的に使われます。

(2)塗り
日本が誇る技術に漆塗りがあります。金仏壇の表側は伝統的に漆が使われてきました。漆塗りは塗る回数が多いほど耐久性に富み、高価になります。現在ではカシューや化学塗料も使われていますが、漆に勝るものはありません。仏壇店を何軒か見てみれば、漆と化学塗料の違いがわかるはずです。

(3)下地(したじ)
下地とは、木地の上につくる塗装層のことで、下地の良し悪しで、それ以降の塗りの良し悪しが決まるといわれるほど重要な工程です。下地塗りには、伝統的には牡蠣(かき)や帆立貝をつぶしてつくられた胡粉(ごふん)に膠(にかわ)液を加えてつくった下地用塗料、膠下地が使われてきました。
現在は、量産される金仏壇には化学塗料による下地(ポリエステル樹脂塗料サーフェーサー)が使われています。
見えない下地塗りならば、化学塗料でもかまわないと思うかもしれませんが、膠下地を使うと、漆仕上がりに緩やかな丸みを持たせることができます。是非、仏壇店で違いを確かめてみてください。

(4)金箔
金仏壇の名称のもととなるもので、内部が金箔で飾られています。
金箔とは金を薄く打ち伸ばしたもので、五毛色(ごもうしょく)という金箔は金98.91%、銀0.49%、銅0.59%の合金で、最も高い金純度です。本金の金箔でも、わずかな量の銀と銅が混ぜられています。五毛色の次は一号色の純度が高く、四号色まであり、徐々に金純度が低くなっていきます。金純度の高いものが高価なことはいうまでもありません。金箔の代わりに代用金を使っている比較的低価格の仏壇もあります。
金箔だけではなく、金粉を使うものもあります。金粉はより高価になります。金粉は金箔にくらべて、落ち着いた金の輝きをしています。

金箔の製法には、縁付(えんつ)け箔と断切(たちきり)箔とがあります。縁付け箔は伝統的工法で、箔打紙という和紙の間に金箔を挟み、水に漬けて槌で打ち、乾燥させ、灰汁(あく)処理をする、これを何度も繰り返して、薄く引き伸ばした金箔がつくられます。箔打紙の良いものが最高の金箔をつくります。
伝統工法は時間がかかるため、量産には向きません。そこで1965年ころ登場したのが、断切箔です。グラシン紙という洋紙を使うと、工程が少なくすむため、量産できるのです。現在は金箔生産の8割が断切箔です。

(5)蒔絵(まきえ)
蒔絵は漆工芸の代表で、日本が世界に誇る伝統工芸です。蒔絵とは漆で文様を描き、金粉・銀粉・スズ粉・色粉を付着させた技法のことです。蒔絵には、蒔絵の上から漆を塗り、研ぎだして描く磨き蒔絵があります。これは蒔絵の上に漆の塗幕ができるので、蒔絵を保護する効果があるとともに、光沢のある美しさがあります。
平蒔絵(ひらまきえ)という工法は、漆などで文様を描き、その上から金粉などを蒔いたものです。平面的な文様であることから平蒔絵と呼ばれます。これに対して、高蒔絵は文様を肉上げしたものです。文様に立体感があり、豪華です。
現在、量産する場合は、シルクスクリーン印刷技術が使われます。

(6)彩色(さいしき)
彩色とはものに色をつけることをいいます。仏壇に彩色するとき、濃い色を強調する極彩色(ごくさいしき)と、淡い色をつける淡彩色(たんさいしき)とがあります。

(7)彫刻
仏壇には細部にわたって彫刻が施されています。細かい彫刻を付け足した付け彫りと、一枚彫りとがあります。

(8)錺金具(かざりかなぐ)
錺金具とは仏壇や仏具に取り付けられる補強金具、装飾金具のことで、錺金具を取り付けることで仏壇を美しくしています。
伝統工法では鏨(たがね)を使って、銅や真鍮などの金属を加工する手打ち技法があります。手打ち錺職人は全国の仏壇仏具産地に技術の高い職人がおり、日本の伝統工芸が守られています。手作業による伝統工芸品は当然、価格が高くなります。
現在では電鋳(でんちゅう)金具が一般に使われています。原型を電気鋳造金で大量につくることができます。さらに低価格の錺金具は金型を使い、金属に圧力をかけてつくるプレス金具、数値制御装置を持つNC加工機で線刻文様、透かし彫りなどをつくるNC金具もあります。
表面のメッキは、金メッキや消しメッキがあります。

少し細かく説明しましたが、金仏壇をつくるのに、数多くの材料を必要とし、何工程も経てできあがることがわかっていただけたでしょうか。
しかし、単に材料が良いだけでは高価な仏壇はできあがりません。材料を生かす職人の腕が必要です。職人の腕がいかに良いか、職人がどれだけ手間をかけてつくったかによって、すばらしい金仏壇ができあがるのです。
たとえば、仏壇の命ともいうべき漆を塗る作業ひとつをとっても非常に手間がかかります。まず、漆は温度や湿度によっても微妙に仕上がりが違ってくるので、天候にも細心の注意をはらうところからはじまります。
塗り師と呼ばれる職人は研磨された木材に漆を塗り、それを研ぐという作業を何度も繰り返しますが、漆を塗る作業はとても繊細で難しく、塗る漆の量が少し多くても少なくてもムラができてしまうのです。熟練した職人の技が必要なのです。
ほかにも、金箔を接着させる箔押し、蒔絵、錺金具などがあり、どの工程にも職人の卓越した技が必要で、たいへんな手間をかけて施されていきます。
金仏壇の価値を決める最も大きな要素は、職人がどれだけ手間をかけて作ったかにあります。ですから、小さい金仏壇の方が、大きい金仏壇よりも高価になることもあるわけです。

手間をかけた金仏壇は年月を経てもメンテナンスをきちんとすれば、価値が下がることはありません。しかし最近は、新品の仏壇を見ても、本物の漆と金箔を使っているのか、代用素材を使っているのか見分けにくくなっています。
新品のうちは同じように見えても、時を経るにつれて手間をかけて作られた仏壇と、そうではない仏壇とでは、はっきりと違いがあらわれてきます。
手間をかけてつくられた金仏壇は、「お洗濯」といって、最初から修復ができるようにつくられています。数十年後に「お洗濯」に出すと、新品同様に美しくなって戻ってくるので、良い仏壇は100年200年と安置しおまいりすることができるのです。

最近の安価な金仏壇には、修復できないものがあります。徐々に傷んでいき、いずれは買い換える必要が出てきます。
別に安価な金仏壇を購入することが、悪いわけではありません。ただ、安価のものはどうしても傷みやすく、修復できないこともある、という点を知ったうえで購入してほしいと思います。
仏壇を購入しようと決めたとき、自分は末永く安置できる仏壇がほしいのか、そうでないのかなど、どんな仏壇がほしいのかをまず、よく考えてください。そして、どんな小さなことでも仏壇店に質問をして、納得できる仏壇を選んでほしいと思います。

2.唐木仏壇

唐木仏壇は木材を加工し、細工をしてつくった仏壇です。金仏壇にくらべて、しっとりとした趣のある仏壇です。
唐木とは、中国が「唐」と呼ばれていたころ、唐から輸入された東南アジア産の銘木のことで、日本では産出されない木材のことを指していました。当時、輸入されていた銘木は黒檀、紫檀、鉄刀木(たがやさん)といわれています。当時から大変、貴重な木材で、正倉院や法隆寺宝物殿には紫檀でつくられた碁盤やすごろく盤が残されています。唐の国が滅んでも、唐木の名前は残り、江戸時代には、中国から定期的に紫檀や黒檀が輸入されるようになっています。
大名だけではなく、富裕な商人も工芸品や住宅に唐木を使うようになり、日本の工芸技術が飛躍的に発展しました。日本の木材にはない色彩を持つ銘木に日本人が魅せられてきたからでしょう。

唐木仏壇は、銘木と呼ばれる黒檀や紫檀、桑、欅などを使った伝統的様式の仏壇が唐木仏壇と呼ばれ、江戸時代に培われた工芸技術が生かされています。
有名な唐木仏壇が東京唐木仏壇と大阪唐木仏壇です。現存するもっとも古い東京唐木仏壇で有名な仏壇は伊能忠敬家のものです。大阪唐木仏壇は16世紀ころ、東南アジアから唐木を直接、輸入していたころから、日本でも有数の唐木仏壇製作の産地となっています。
現在でも銘木は貴重な木材となっているので、すべて無垢材を使った総無垢の仏壇はわずかしかありません。相当、高価になります。
現在、大半の仏壇は芯に別の木材を使い、銘木を張ってつくるようになっています。製品の価格を抑えるという目的のほかに、木材の割れや狂いを防ぐという理由もあります。張ってある銘木の使用量で価格が決まってきます。
芯材には朴の木、マメ科セピター(東南アジア産)、ノボタン科ジョンコン(インドネシア産)、合板、MDFボード(合成木材)などが使われています。

総無垢の唐木仏壇の次に高価なものが、芯材の上に厚さ6ミリくらいの銘木の無垢材を張り合わせた「無垢厚板張り」です。練り工法ともいいます。
芯材の上に厚さ0.2ミリくらいにスライスした銘木の突板を張り合わせる「突板張り」はリーズナブルな仏壇です。
芯材に銘木の木目を直接印刷した転写もの、あるいは芯材に木目を印刷したフィルムや塩ビシートを張り合わせたプリントの仏壇もありあます。もちろん天然の銘木を使ったものより安価なつくり方で、最近増えてきている中国製の仏壇にはこのタイプが多く見られます。
しかし、転写やプリントの仏壇も、印刷技術が向上しているため、一見しても見分けがつかないほどよくできています。仏壇の正面を見るだけではなく、側面や内部などもよく見てください。良い仏壇は細部まできちんとつくられています。

安価な唐木仏壇を購入することが悪いわけではありません。しかし、印刷の木目はいずれ色あせてきます。薄い突き板は無垢厚板にくらべ、傷つきやすいものです。
それにくらべ、高級品は美しい状態を長い年月保つので、材質の違いは年月を経るごとにはっきりと現れてきます。
購入するときは、安価な仏壇は早く色あせ、傷みやすいということを念頭において仏壇選びをしてください。

3.家具調仏壇

家具調仏壇は、新型仏壇とか都市型仏壇とも呼ばれ、洋間に合わせた新しいデザインの仏壇のことです。これまでの伝統的様式から彫刻や宮殿を排除し、インテリア性を重視したすっきりしたデザインで、小型の仏壇が主流です。マンションやフローリングの部屋に違和感なく安置できます。材質はナラやウォールナット、ニレ、チークなどの洋家具材を使用した、明るい自然感のある色調のものが多いのも特徴です。
唐木仏壇と同じように、大半の家具調仏壇は芯に別の木材を使い、洋家具材を張ってつくっています。
表面材の使用工法には、無垢厚板張り、突板張り、木目印刷、プリントなどの工法があり、張ってある木材の使用量が価格に影響してきます。

【8】仏具を選びましょう

仏壇店では仏壇を購入されるお客様に、仏具も一緒に販売することが多いです。
毎日、おまいりする仏壇を仏壇らしくするには、仏壇のなかに本尊、位牌を安置するだけではなく、花立や燭台、香炉などを飾って、はじめて完成します。「これだけの仏具が必要ですよ」とお客様にお見せすると、みなさん、「こんなに飾るのですか」と驚かれます。しかし、毎日、おまいりしているお客様のなかには「仏壇がさみしく見えるので、もっと飾りたい」と、買い増しされることもあります。毎日、仏壇に手をあわせているうちに、何かをしたい、という思いがお客様の心のなかに生まれてくるからです。まさに、仏壇に仏具を飾る意味はそこにあると思います。
仏壇に仏具を飾ることを「荘厳(しょうごん)する」といいます。荘厳はサンスクリット語で「見事に配置されていること」という意味で、さまざまな仏具で仏壇を飾って、はじめて仏壇になるのです。
揃える仏具は宗派によって違いがありますので、仏具を選ぶときは信頼できる仏壇店と相談しながら購入するのが一番です。
仏具の素材もさまざまで、木製、銅器、陶器、金襴(繊維)、樹脂などでできており、素材によって価格もかなり違います。また仏壇に合わせて、仏具の大きさを選ぶことも大切です。大きすぎれば、仏壇内がうるさく感じられますし、小さすぎると、さみしく感じます。
漠然と仏具を揃えると、仏壇内の統一性がなく、美しく見えないことがあります。見事に荘厳した仏壇にするためにも、仏壇店と相談をしながら選ぶとよいでしょう。

1.宗派を問わず必要な三具足(みつぐそく)・五具足(ごぐそく)

仏具荘厳の基本は香炉・花立・燭台です。三具足、五具足といい、これを基本に荘厳していきます。三具足は香炉、花立、燭台で、中央に香炉を置き、向かって右側に燭台、左側に花立を置きます。
五具足は花立と燭台が対となり、中央に香炉、その両脇に燭台、さらにその両脇に花立を飾ります。
五具足が正式な飾り方ですが、小さい仏壇の場合は三具足でよいです。

(1)香炉
線香や抹香をたくもので、玉香炉と前香炉があります。小さい玉香炉は本尊前に安置し飾り香炉とします。一般には広口の前香炉を線香を供えるために使います。三本足の香炉は一本足を手前にして置きます。

(2)花立
生花を供えたり、常花を飾るものです。

(3)燭台
ロウソクを立て、灯をともすもので、火立やロウソク立ともいいます。

2.ほかに必要な仏具と飾り方

(1)仏飯器(ぶっぱんき)
仏器(ぶっき)ともいい、ご飯を盛る器です。炊きた立てのご飯を供えます。

(2)茶湯器(ちゃとうき)
お茶や水を供える器で、毎朝、供えます。浄土真宗では、原則としてお茶も水も供えません。

(3)仏器膳(ぶっきぜん)
仏飯器や茶湯器をのせる横長のお膳です。

(4)高杯(たかつき)
高月とも書きます、お菓子や果物を供える高脚のついた器です。

(5)リン
リンはリン台の上に乗せて使います。読経の開始を知らせるために、そして、読経の調子をとるために、リン棒で鳴らします。音で邪気をはらい、空間を清める力もあります。

(6)線香差
線香を入れておくものです。

(7)マッチ消
マッチの燃えかすを入れるものです。

(8)吊燈籠(つりとうろう)
吊燈籠は仏壇の天井から吊るして使います。本尊を照らし、仏壇の内部をも明るくします。灯は電気灯が使われます。

(9)瓔珞(ようらく)
仏壇を飾るために両側につるします。真宗大谷派は瓔珞に輪灯がセットで飾られます。仏壇内を美しく飾るもので、後に買い増しする方も多い荘厳具のひとつです。

(10)常花
金属でつくられた蓮華で、常時、供えます。浄土真宗では常花は飾りません。

(11)木魚
木をくりぬき、魚の模様を入れたところから木魚といわれます。読経のとき、たたいて鳴らします。木魚は木魚布団の上にのせ、木魚バチでたたきます。

(12)供筍(くげ)
浄土真宗で主に用いられる供物台です。

(13)輪灯(りんとう)
浄土真宗で主に用いられる灯明具です。

(14)打敷(うちしき)
金襴などで美しく織られた布です。浄土真宗は三角、浄土真宗以外は四角の打敷が使われ、仏壇内を美しく飾ります。

(15)霊供膳(れいぐぜん)
仏膳ともいい、精進料理を供えるものです。親椀(ご飯)、汁椀(みそ汁や吸い物)、平椀(煮込み物)、壷椀(煮物やゴマあえ)、高皿(漬物)、箸で構成され、命日やお盆、彼岸などに供えます。霊供膳を2つ用意する場合は、本尊と先祖に供えるものです。

(16)過去帳
過去帳は、亡くなられた方の戒名(法名)、没年月日、俗名、行年(享年)などを、命日の日付のページに記入しておくものです。

(17)見台(けんだい)
過去帳をのせる台です。

(18)経机(きょうづくえ)
仏壇の前に置き、その上に香炉や燭台、線香差、リンなどを置きます。元来は、お経を読むために経本を置いて使ったので、経机と呼ばれています。

【9】魂を入れる開眼法要(かいげんほうよう)

はじめて仏壇を購入し、本尊と位牌を安置し、必要な仏具も揃えました。これで、すべてが終わり、おまいりできるわけではありません。最後に大事な儀式があります。
それは「開眼法要」の儀式です。新しく仏壇を購入したときは、本尊、位牌に魂を入れてもらう必要があるのです。本尊、位牌をまつり、必要な仏具もすべて飾り終えたあと、菩提寺の住職に来ていただき、魂入れの儀式をお願いします。この法要によって単なる物に過ぎなかった仏像などが、尊い仏になるわけです。この儀式は「仏壇開き」「入魂式」「性根入れ」「入仏式」「お移し」などとも呼ばれます。
最近は四十九日の法要に魂入れをすることが多くなっています。お寺で法要を営むのであれば、本尊と位牌を持参して魂入れをお願いし、帰宅後、仏壇に安置します。

【10】仏壇の買い替えにはご注意

仏壇を新しく買い替えたとき、本尊や位牌を新しくつくりかえたときも、住職に魂を入れ替えてもらう必要があります。そして古い本尊や位牌は菩提寺に納めて「お焚き上げ」をしてもらいます。
古い仏壇は新しい仏壇が配達されたときに、買い求めた仏壇店に引き取ってもらい、お焚き上げ供養処分してもらいます。仏壇の引き出しに大切な物が残っていないように注意しましょう。
買い替えではなく、仏壇が不要になる場合もあります。そんなときは仏壇店に依頼すれば、仏壇を供養処分してもらえます。お焚き上げ供養処分料や引取り料が必要になります。

書籍「仏事・仏壇がよくわかる」

本記事は書籍「仏事・仏壇がよくわかる」からの転載です。

著:滝田 雅敏